ファシリテーションによる会議の効率化
先日、東海学生吹奏楽連盟という学生団体にて、ワークショップを実施してきました。 (資料はこちら)
学生吹奏楽団が抱えがちな負の循環(下図)を脱すべく、会議の効率化を図ろうとう趣旨のもと実施をいたしました。
35名程度その場にいた学生の皆様にとって「ファシリテーション」という言葉自体未知のものでしたので、事後の整理に役立つようこの記事を記載いたします。
ファシリテーションとは
「ある事柄に関わる人々の力を引き出し、 話し合いや活動が円滑に進むよう、支援・促進すること」[2]
であり、図におくと下記の通りとなります。
ファシリテーターは誰がするのかというと、実際にはでは会議ごとにその役割をグループの誰かが担うことが多いのではないでしょうか。
ちなみに個人的にはファシリテーター自身のスキルアップのため、ファシリテーター担当役はどなたかに固定をしたほうが良いと考えております。 具体的には、サポートやコントロールの素質持つ方が良いのではないでしょうか。
ファシリテーターをやる上で大切なのは「支援・促進」に徹することであり、議論自体に混ざって勝手な意見を述べたりせず、会議に参加されている方全体の機微を常に汲み取ろうとすることです。
効率的な会議のやりかた
ポイント
効率的な会議を実施するためのポイントは次の通りと考えます。
- みんなの意見を共有する
- 納得感のある合意形成
- 次にやることが明確になっている
発言機会の少ない参加者はいませんか?決定したのに不満そうな参加者はいませんか?
また、会議で何かを決めることは、何かがスタートすることです。物事を決めることをゴールとせず、メンバー全員がそれぞれ次に何をやるのか明確になっていることをゴールとしましょう。
やり方
会議では、会議の目的に合わせて手順が異なります。
目的が報告なのか、方針決定なのか、課題解決なのか、会議を始める前に参加者で共有しましょう。
次に記載するものは、その目的を達成するために登場する具体的なやり方の紹介です。
準備
会議の前にファシリテーターがやることをまず整理します。
- 参加者の決定
- 所要時間の決定
- 日時の決定
- 場所の確保
- 開催の通達
- 備品(議論に必要なもの)の準備
予め議論の内容がわかっている場合は議論の順番や必要時間を考えておきましょう。
発散
会議の場で、参加者の皆様に意見/アイディアを出してもらうときのやり方です。
- 付箋に書いてもらう
- A4用紙に書いてもらう
ここで重要なのは、参加者の皆様に自身の意見を集中して考えてもらうことです。
3-5分をタイマーで測り、その間はファシリテーターは黙っています。(参加者の集中力が途切れたなと思ったら、全体に向けてちょっと声をかけたりはしますが。)
共有
上記で書いてもらった内容を、参加者全員で分かち合う際のやり方です。
付箋を利用した場合は、参加者が順番に付箋を1枚ずつ簡単に(一言で十分)紹介しつつ全体に提示をします。その間で同様の意見があるという他の参加者はそっと(無言で)その付箋の周りに自身の付箋を貼ります。
このとき、手元にある付箋の枚数が少ない(=意見・アイディアの数が少ない)人から順にやってゆくことで、発言機会の確保ができます。
A4用紙を利用した場合は、時計回りで全員で回し読みをします。1枚(一人分)を読む時間の目安としては、40秒-1分でしょうか。
収束
たくさんの意見・アイディアから一つのものに絞り込むやり方です。
参加者の意思を聞く前に、各意見を比較する目的で一度整理を行うこともおすすめです。
このような2軸で各意見がどのあたりになるのかを話し合うことなどです。
最終的な決定の手法として、次の2つを紹介します。
- 各個人が複数票を持った多数決
これは、意見の数の半分-1/3程度の投票権を参加者に与えるものです。
例えば3票を参加者に与えるとすると、参加者は異なる3つの意見に賛成の意思を表すというものです。
テーブルの上にある付箋(=意見)に「正」の字を書くように投票を促すことで、時間短縮もできます。
- ポイント振り
こちらは親指を使って各意見に点数を与えるやり方です。
下のとおり、例えばサムアップなら+1点とし、参加者全員が一斉に親指で意思を伝えます。この合計点がポイントとなります。
付箋にポイントを記入しながら順に行うと良いでしょう。
その他のコツ
上記に幾つか紹介したやり方を円滑にするための、おすすめの方法をお伝えします。
- タイマーは参加者全員に見えるようにしましょう。
- BGMをかけておくと、静寂が苦痛にならない上に、参加者が楽しんでくれます。
- 毎度上記で紹介した方法をやるごとに、参加者の皆さんに今から何をやるか明確になっているか確認をします。
最後に
様々に紹介してまいりましたが、最後にマインドの話を少しだけ致します。
それは、「会議だからって常に話し合う必要がない」ということです。
他の人の話を聞きながら、自分の意見を考えることは誰しも難しいものです。この二つが明確に分かれた会議をすることで、良い議論につながると考えます。
今回ワークショップという場で私自身の気づきが多くありました。特に自分と異なる土壌・文化を持つ方(今回なら非IT系が多くいらっしゃる学生さん)への言葉遣い、気をつけたいと思います。
なお、実施にあたり多くの方に協力をいただきました。皆様に感謝を致します。
再演のご依頼などございましたら、ご遠慮無く連絡をいただけますと幸いです。